キャンパスブログ

遠野わくわく体験レポート

 

今年度からの新コース・遠野は、内陸の花巻と、沿岸の釜石とのちょうど中間地点にあります。柳田国男が佐々木喜善から聞いた話をまとめた『遠野物語』の舞台でもあり、市は「民話のふる里」をテーマに町づくりをしています。

記念すべき第1回目の参加者は、学生のNさんとMさん、そして助手のMさん。
引率者以外は初めて訪れたという遠野で、参加者は何を見て、何を感じたのか―。
笑いあり涙ありの珍道中(?)について、報告いたします。

【9月10日(水)】
1.遠野の町はカッパづくし!
遠野三大昔話といえば、「かっぱ淵」「オシラサマ」「座敷童子」とされています。
中でも河童は大人気。
町のあちこちで、河童のキャラクターを見ることができます。

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というわけで、着いた早々いただいたのがこちら。

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その名も「カッパフェー」。
4人がかりで完食しました。

2.『遠野物語』の生まれた地
お腹の満たされた一行は、まず遠野ものがたりの館へと向かいました。
ここでは、実際に語り部の方が語る遠野の昔話を聞くことができます。
もちろん言葉は、本格的な遠野の方言です。
耳慣れないと何を言っているのかなかなかわかりませんが、じっと耳を傾けているうちに、何となく話がわかってくるような気がします。(たぶん)

館内には、昔話をテーマにした様々な展示があります。
これは、触るとそれに関連したお話の影がテーブル上に出てくるという仕掛けです。

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こちらは、昔話の世界や登場人物を選んで、自分でお話を作るという仕掛け。
例えば「桃太郎」の世界を選び、登場人物で「女の子」を選ぶと、「桃姫」という主人公のお話が始まります。
さらに、お供に「熊」「亀」「兎」を選んだことで、物語は思わぬ展開へ。
この他にも、いろいろなパターンのお話を作ることができます。

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同じ敷地内には、柳田国男が泊まったという旅館が残っていたり、柳田が晩年を過ごした東京の書斎が移築されたりしていました。

次に、遠野市立博物館に行きました。
ここでは、『遠野物語』の世界や遠野の歴史・暮らしについて学ぶことができます。
学芸員の方に案内していただきましたが、学問的なことばかりでなく、展示製作の裏話や隠れキャラの存在まで、ただ見学しただけではわからない話をたくさんしていただきました。

その後は、遠野駅からバスに乗ること数十分のところにある宿へ。
ここには、昔懐かしい囲炉裏がありました。(今は使われていません)

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ベッドメイキングは自分たちでします。

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朝も早かったし、この日はすぐに寝入って―しまうかと思いきや、この日の記録やその他の課題をしていて、少し遅い時間まで起きていたようです。
お疲れ様でした。

【9月11日(木)】
3.ちいさな語り部さんたちとの交流会
午前中は、年長児が語り部活動に取り組んでいるという土淵保育園に行きました。
今月の佐々木喜善祭に向けて練習しているという「わらすっこかたりべ」の19名は、元気な声で「おばこ淵のかっぱ」という昔話を聞かせてくれました。

続いて、学生たちが素話を披露。
千葉県に伝わる昔話「多古の殿さま」「円照寺の白蛇」をそれぞれ語りました。
学生たちが来ているちゃんちゃんこは、園児たちが本番の時に着る衣装なんですよ。
「昔話はこれを着て語る」ということで、特別に貸していただきました。

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お話が終わった後は、なんとこの日のために用意してくれたという手作りのプレゼントをいただきました!
年長児全員に見送られ、私たちは笑顔で保育園を後にしたのでした。

4.めざせ一本釣り名人!
昼食後は、近くにあるカッパ淵へと向かいました。
余談ですが、途中にある常堅寺には、頭に皿がある河童狛犬がいます。

さて、その昔、いたずら好きの河童が住んでいたというカッパ淵。
ここでは、なんと河童釣りをすることができます。
淵のそばには、ちゃんとキュウリが結びつけられた釣竿も用意されているんですよ。
この淵のどこかに潜んでいるかもしれない河童を相手に、いざ挑戦!

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…1時間後。
結局何も釣れませんでした。
その代わり(?)、伝承園から連れ帰ってしまったのがこちら。

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図書館の新しいマスコットキャラクター「もへじ君」として、カウンターの上にいます。
見かけたら、優しくなでてくださいね。

皆さんも、遠野を訪れることがありましたら、ぜひ挑戦してみてください。
その際には、「カッパ捕獲許可証」(お土産屋さんにはたいていあります)を購入することと、カッパ麦わら帽子(伝承園で借りることができます)をかぶることを忘れずに。

5.遠野の原風景
「河童麦わら帽」の貸し出しも行っている伝承園には、昔の建物が移築され、遠野の暮らしについて学ぶことができます。

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こちらは、繭の糸取り体験。
遠野では、かつて「オシラサマ」という神様が祭られていました。
娘と馬の悲恋に由来し、養蚕の起源にもなっています。

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伝承園には、たくさんのオシラサマを集めて展示している「オシラ堂」もあり、願い事を書いた布をかぶせることができます。
学生たちは、果たして何をお願いしたのでしょうか。

さて、この日の宿は、なんと一般のご家庭です。
遠野には、農業体験ができる民泊を行っている農家があります。
学生たちは迎えに来てくださった農家の人と一緒に、それぞれのお宅へと向かいました。
翌日は、終日農作業体験です。

【9月12日(金)】
6.それぞれの農作業体験
農作業の内容は、家によってそれぞれです。
こちらは、「パドロン」の収穫。

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パドロンはピーマンとシシトウの中間のような野菜ですが、日本ではあまり栽培されていません。そこで、某ビール会社が遠野の農家と提携し、栽培を行っているのだそうです。
素揚げにすると、ビールのおつまみとして最適なんだとか。

もう一方の学生は、庭の一角を整理して、小さな苺農園を作っていました。
ちゃんと、名前の看板も作ってもらいましたよ。

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【9月13日(土)】
7.未来への希望
すっかり打ち解けた農家の方々と別れを惜しみつつ、この日は学生からの発案で、電車に乗って釜石に行きました。

まずは、釜石市街を広く見渡せる薬師公園へ。
ここは戦没者の慰霊碑があり、「平和像」という名のマリア像が立っています。
遠くには、釜石観音が見えました。

少し罰当たりですが、掌に観音像。

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ところで、言うまでもありませんが、東日本大震災では、釜石も津波で大きな被害を受けました。一見復興しているようにも見えますが、ところどころにはいまだに震災の爪痕が遺されています。

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様々な行先を考えていた学生たちでしたが、予定を変えて、ちょうどその日行われていた復興チャリティーイベントに行ってきました。
イベントは伝統文化を無料で体験できるというもので、私たちは和菓子作りと銀箔貼りに挑戦。銀箔貼りは、色紙に貼った銀箔に、腐食液をつけた筆で絵や字を描くというものです。

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今は何も見えませんが、数か月後に周りの部分が錆び、腐食液を塗った部分だけが残って、描いたものが浮かび上がってくるそうです。
図書館に置いてありますので、経過を見たい方はぜひどうぞ。

8.神の宿る舞
夜は、農家を紹介していただいたNPOの方のお誘いで、平倉神楽の練習を見学しに行きました。
翌週の祭り本番に向けて、今、遠野ではあちこちの地区で神楽や太鼓の練習をしています。

余談ですが、ここにたどり着くまでに、なんとタクシーで1時間近くかかりました。
練習会場は、タクシーの運転手さんでさえ知らないところだったのです。
街灯も少ない田舎道、しかも雨が降り出し、時折雷光がひらめく中を、携帯電話やスマホを最大限に駆使した末に、ようやく見つけることができました。
私たちを送り届けた運転手さん曰く、「今までで一番難しい場所だった。」とのこと。
運転手さん、ありがとうございました。

権現舞の練習では、「明日の発表が上手くいくように」(教員たちは「この先の人生が上手くいくように」)と、獅子に頭を噛んでもらいました。

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【9月14日(日)】
9.私たちが出会った遠野
楽しかった遠野も、ついに最終日です。
この日の午前中は、遠野文化研究センターの会議室をお借りして、フィールドワークについての発表会を行いました。

研究センターの方や駆けつけてくださった農家の方、NPOの会長さんを前に、この遠野で体験してきたことについて発表する学生たち。
短い期間でしたが、振り返ると本当にいろいろなことがありました。

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大変なことも多かったけれど、それ以上に楽しい思い出がたくさんできました。
今回の研修でお世話になった遠野の方々には、どんなに感謝しても足りません。
本当にありがとうございました。

そして、初の企画であったにも関わらず参加した学生の皆さん、お疲れさまでした。
いつかまた、遠野を訪れてみてくださいね!

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