千葉明徳短期大学は保育者養成に特化した単科の小さい大学です。創立から50年、それは変わりません。「体験から学ぶ」ことを教育の特色としています。「体験から学ぶ」といっても、ただ、いろんな体験をすればよいということではありません。様々な体験を通して、自分で感じたこと、考えたことを言葉にして語ったり文章にして表現したりすること、そして、共に学ぶ仲間と話し合い学び合うことを大切にしています。
保育という人を相手にする仕事は、こういう時はこうすればいいというようなマニュアル化はできません。相手に合わせて、関わり方が変わります。同じ相手であっても、状況が違えばこれまた対応が変わります。その時その時の判断に基づき、相手の成長のために様々な働きかけを考えていかなければなりません。保育者は常に相手とともにあり、相手の育ちを願って問い続ける、学び続ける存在なのです。「体験から学ぶ」という学びの方法は、保育者として大切な問い続ける姿勢、学び続ける姿勢を育てます。
ですから、明徳では保育の場だけでなく、様々なフィールド(現場)へ出向きます。教員一同、皆さんが様々な体験をしてそれを振り返り学び合うことを支えていきたいと思います。 明徳で共に学ぶことをおもしろがりましょう。
1993年 東京学芸大学大学院学校教育専攻幼児教育学講座修了
2008年 千葉明徳短期大学保育創造学科教授
2021年 千葉明徳短期大学学長就任
学校法人由田学園 理事長 2007年〜
特定非営利活動法人四街道プレーパークどんぐりの森 理事 2016年~
短期大学基準協会第三者評価(認証評価)評価員 2012年〜2015年
「演習 保育内容総論 子どもの生活・環境・遊びに向き合う」萌文書林(共) 2013年
「めばえ幼稚園の保育実践」ななみ書房(共) 2023年
NHK Eテレ「すくすく子育て」〜「困った!○○しない」専門家として出演 2022年
日本保育学会第75回大会自主シンポジウム「音環境の改善と保育実践への影響―建築音響からの提案を中心にー」企画・司会・指定討論者 2022年
千葉明徳短期大学は、昭和45年(1970年)に幼児教育者の養成を目的として、学校法人千葉明徳学園によって開設されました(開学時は、幼稚園教諭免許のみ取得可能でしたが、昭和47年度からは保育士資格も取得可能となりました。)。これに先立ち、学園としては大正14年に千葉淑徳高等女学校(昭和22年に新制の千葉明徳高等学校となり、現在に至る)を、また、昭和42年に千葉明徳学園幼稚園(現千葉明徳短期大学附属幼稚園)を開設しています。そして、平成15年には付帯事業として、明徳本八幡駅保育園を開設しています。
現在、学校法人及びその開設するすべての学校、施設の名称に「明徳」が冠されていますが、最初に「明徳」の名称が用いられたのは、千葉淑徳高等女学校が新制の千葉明徳高等学校に移行したときで、その後、昭和26年の財団法人から学校法人への移行に際し、法人の名称も「千葉明徳学園」とされました。現在、学園全体の教育を貫く建学の精神というべきものは、この「明徳」の言葉に込められています。
この「明徳」という言葉は、中国の古典「大学」の「大学之道、在明明徳、在新民、在止於至善」(大学の道は、明徳を明らかにするにあり、民を新たにするにあり、至善にとどまるにあり。)に由来します。大意は、「大学」つまり、社会の指導的立場にある者が修めるべき、実利のための学問ではない、世のため、人のための学問の道とは、「明徳」すなわち、人間が生まれながらに持っているはずの優れた性質つまり人間性を引き出して輝かせ、それによって周囲の人々をも感化し、その最高に徳性を輝かせた状態から離れないことにある、というものです。
この「明徳」に込められた本学の建学の理念とは、実利の学としての小学に止まらず、自らの徳性を輝かせるべく大学の道を求め、社会に貢献していく有為の人材を育成することにあります。また、「大学」においては、「明徳」を明らかにするには、究極的には、「先致其知」(先ずその知を致す)、つまり社会の物事をすべて誤りなく把握することができるように自らの知性を極めることが必要であるとされています。磨き上げられた鏡のごとく、あらゆる物事を誤りなく捉えることのできる知性、それは同時に己の姿をも誤りなく写し、その心と行いを正しく保つことを可能にします。自らの人間性、徳性を輝かせるために、自らを厳しく律し、その知性を曇りなく磨き上げていくことも当然に、本学の精神の内容をなすものなのです。
さて、この建学の精神を示す「明徳」の名称は、昭和22年に千葉明徳高等学校の校名に最初に使われた旨を述べましたが、千葉淑徳高等女学校以来、本学園の開設するすべての学校の校章には、八咫鏡が用いられています。それは、磨き上げられた知性の象徴であり、曇りなき目で自らの内実を見つめ、人格の練磨を図るべきことを表しています。その意味では、「明徳」をもって示される精神は、千葉淑徳高等女学校時代から一貫して本学園に流れているとも言えるのです。
建学の精神である「明徳を天下に明らかにせんとする者は、先ず其の知を致せ」に基づき、本学で学んだ学生が、子どもの成長にかかわる者として、その生まれもった人間性や能力を輝かせることを教育の目的としています。